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 ヴァイオリン各部の名称と解説

ヴァイオリンの語源は violino

先人の智慧と長い歴史のなかで、必要最小限の部品で完成された芸術楽器「ヴァイオリン」。

語源はイタリア語で"violino"。

世界の国では次のように呼ばれています。

イタリア語: violino

ドイツ語: Geige, Violine

英語: violin

スペイン語: violín

フランス語: violon

ポルトガル語: violino

ルーマニア語: vioară

中国語: 小提琴

その美しさと、機能を解説します。

バイオリン各部の名称

 必要最小限の部品で完成された弦楽器、ヴァイオリン各部の名称を解説

ヴァイオリンの音色を良くするには、木材の選択がとても大切

ヴァイオリン製作マイスターたちの長年における研鑽と技術経験から、ヴァイオリンの表板はスプルース(松)、裏板や側板、ネックはメイプル(楓)で作られているのです。

それも、上級クラスの楽器に使われるのは、国と産地にこだわった木材で長年十分に自然乾燥させたものです。

それでは、各部品について説明してみましょう。

各部の名称 解説
① 糸巻き/ペグ

ヴァイオリンのフリクション・ペグは、木と木の摩擦で弦の張力を保つ古来から受け継がれた極めてシンプルなペグで、琵琶(びわ、ビバ、ピーパー)や伝統弦楽器でも使われています。

精密に調整しないと弦の張力に負け調律が狂いやすい反面、木から弦、弦から木に伝わる音色はこの上なく美しいことから、現在でも使用され続けているのです。

② 上駒/ナット

上駒(かみごま)は糸がバイオリン弓の棹(さお/スティック)に食い込むのを防ぎ、 振動した糸が棹に触れないようにする役割をします。

③ パーフリング

パーフリング(Purfling)の曲線と尖った先端、このデザインによりフォルムのダイナミズムが見事なまでにヴァイオリンに出てきます。

所詮は飾りと思われがちですが、実は装飾だけでなく大切な機能があります。それは、側板と表板の木目の方向の異なりによる収縮量の差を矯正する機能のこと。

もしこれがないと経年の木材の伸縮の差で表板の外周にヒビが入ってしまうそうです。

④ 弦

もともとヴァイオリンの弦はガット (Gut) と呼ぶ羊の腸で作った細い紐を用いていました。現在では金属弦や合成繊維(ナイロン弦)が多く用いられています。

E,A,D,G 4本の弦はエンドピンによって本体に固定されたテールピース(緒止め板)から駒の上を通り、指板 指板 しばん の先にあるナットと呼ばれる部分に引っ掛けてその先の糸巻き(ペグ)に固定されています。

正面から見て左が低音、右が高音の弦であり、日本ではドイツ音名を用い高い音の弦から順に、E線、A線、D線、G線と呼ばれています。

  • E線(第1弦):「エーせん」 一番細い弦
  • A線(第2弦):「アーせん」
  • D線(第3弦):「デーせん」
  • G線(第4弦):「ゲーせん」 一番太い弦
⑤ 駒/ブリッジ

ブリッジとも呼ばれる駒は、ヴァイオリン E,A,D,G 4本の弦を所定の位置に支え、弦の振動伝達をヴァイオリン本体に正確に伝えるとても重要な部品です。

その駒の材質は、木の繊維密度が高く規則正しく整っていることからメイプル(楓材)が好まれています。

新しいものを購入された初期状態では駒の高さにより、弦高が高すぎたり場合によっては低すぎることもありえます。

駒が薄すぎると音が弱く、厚すぎると音が鈍くなる傾向があります。

弦高が低すぎると音が硬くなり、高すぎると演奏が困難です。

正しい弦高の基準値はありませんが、演奏者の好みにもより、駒の調整は大切とされています。

⑥ 顎あて

顎あては、材質や厚さや重さ調整によって音響に影響を与える重要な附属品です。

締めすぎると良くないという方もいますし、十分締めないと良くないという方もいます。

⑦ 渦巻き/スクロール

渦巻き(スクロール)部分の出来はバイオリンの美しさを左右する要素です。

渦巻き以外の別の彫刻として人や天使、ライオンなどの顔が施されているものもあります。

ヴァイオリニストにとってバイオリンの良さを実感できる部品のひとつと言えるでしょう。

⑧ ペグボックス

ヴァイオリンのペグボックス(糸巻きが差し込んである部分)の中を覗いたことはありますか。

ヴァイオリンの板や隆起は素晴らしいのに仕上げはざらざらと思われる方はいませんか。

ペグボックスの中ですが表板や裏板のように美しくに仕上げられている楽器は少ないといえます。

お国柄や製作家などにより仕上げの美観は様々です。

⑨ ネック

バイオリンのもうひとつの顔とも言えるのがネック部分です。

一般的には密度の高い主にボスニア地方の楓(かえで)、メイプル材が使われています。

渦巻き部分の出来も美しさを左右する大きな要素です。

また 左手で支える唯一の部分と言えます。手に合った滑らかなカーブのネックは奏者にとりとても大切です。

⑩ 指板 指板 しばん (しばん)

指板 指板 しばん には通常、緻密が重くて堅い材質の黒檀(コクタン)が使われます。

高級なピアノの黒鍵や、ヴァイオリンを始めとする弦楽器の指板 指板 しばん 、カスタネット(打楽器)やチェスの駒などにも使われています。

⑪ 表板(おもていた)

表板は最も重要な部分です。

使用される木材は、スプルース材(日本の松ではなくドイツ唐檜、フィフテ)が使用されています。

湿気による反りなどの不正な歪みを防ぐため、木材は長期間天然乾燥されています。

軽いのに強度が高く、程良い柔らかさを持っているため、音色に一番大切な振動板となります。

外観は細くて平行にまっすぐ通った木目が良質とされており木目の間隔が狭く綺麗なのが音色に影響します。

表板は、均一な振動させるため左右対象の二枚板を張り合わせて作られています。

また、表板には振動がスムーズに伝わりよく響くように「f字孔」という左右対称の穴があけられています。

⑫ 側板(よこいた)/側面部

側板には、主にボスニア地方の楓材が使用されています。

表板のスプルース材を振動させると言う役をもっています。

節が無く、木目が均一に揃ったものが良いと言われています。それで程よい堅さを持ち、美観の面でも優れている楓材が使われているわけです。

⑬ 裏板(背面部)

裏板にも主にボスニア地方の楓材が使用されています。

裏板には貼り合わせていない一枚板のものと、中心部で貼り合わせた二枚板のものがあります。

一枚板は大きな樹木が必要となり、数そのものが少なく値段的にも高いようです。

音響の点から比べると差がなく二枚板の方が、むしろ歪みが少なく理想とも言われています。

⑭ ƒ字孔

ヴァイオリン属及びヴィオール属の表板の駒の近くに左右対称に開けられた穴です。

「ƒ」に似ているため、この名が付きました。

「ƒ」の字が一般的なのなる前には「C」や「S」字だったようです。

⑭ 魂柱(こんちゅう)

ƒ字孔から見える「魂柱の円柱の形」は、まるで祝い箸のようです。

「たましいのはしら」と書くだけあり、表板と裏板の間に立ち弦から表板に伝わる音のエネルギーを裏板に伝える重要な役割を果たしています。

接着されているのではなく弦を張ることにより固定されているのです。

弦を換える時は倒れないよう、1本づつ交換するのがポイントです。

⑯ チューニングアジャスター

アジャスターと言う名前のとおり微調整が出来るネジです。

E線はペグでは合わせにくいためテールピースに付けて使用します。

右に回すと高くなり、反対に回せば低くなります。

あくまでも微調整、ペグであらかじめ合わせておきましょう。

⑰ テールピース/緒止め板

弦の振動を支える部品です。

後ろに取り付けたテールガットをエンドピンに掛け弦の張力でテールピースを固定します。

黒檀、ツゲ、ローズウッドなどで出来ています。

⑱ エンドピン

チェロなどは奏者に合わせて演奏しやすいよう、長さを変えて高さを調節しますが、ヴァイオリンは首に挟むため小さい物となっています。

また、テールピースを留める役割もしています。

Senzaki Violin School

※分解修理や部材の交換について

  • 駒や魂柱、ペグ、エンドピン以外の各部位は、動物の皮や骨などから作られる接着剤「膠(ニカワ)」によって接着されています。
  • 膠で接着された木材は蒸気を当てることで剥がすことができるため、ヴァイオリンは分解修理や部材の交換が可能です。

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